雑記

海外在留邦人(日本人)向けフリーペーパー中毒の日系企業に思うこと

筆者は少数の仲間と月間10万PVレベルの海外情報WEBメディアを運営しています。

日本の普通のメディアだと大したことのない規模ですが、海外の特定の「国」に特化した情報メディアとしてはそれなりの規模です。

企業や飲食店から純広告の相談をいただくこともあるのですが、その都度「日本人向けフリーペーパー」が比較対象になります。

で、最近いろいろと日本人向けフリーペーパーに対して思うことがありました。

使い方によって広告効果はあると思うのですが、出ている広告の半分以上は特に広告効果なく惰性で載せているだけで効果はなさそう。

でも日本人向けフリーペーパーへ広告出稿し続ける人たち。

そんな日本人向けフリーペーパーと広告主についての独り言記事です。

目次

海外に必ずある在留外国人向けのフリーペーパー

今や海外へ行けばいろいろな国に日本人が住んでいます。先進国はもちろん、最近は東南アジアはじめ新興国に駐在する人たちも多い。

日本人がいる海外都市ではほぼ必ず「在留邦人向けフリーペーパー」が発行されています。

(特定の媒体の印象を強めてしまうので、イメージ写真は割愛します)

インスタントな情報をとにかく素早く掲載する週刊のものから、丁寧に記事や写真で作りこまれた月刊のものまで。

ビジネス的には広告スペースを多数取れる週刊が圧倒的に強いです。週刊の場合は編集スパンが短くなるので「コンテンツ」は新聞社の古いニュースを購入して転載していたりします。

週刊の中身は月刊の「きちんと取材して作りこまれた記事」よりもだいぶ読み応えは低くなりますが、日本語に飢えている海外の日本人はついつい手に取ってしまうのです。

長く住むほど読まなくなる傾向があるのですが、中身を読まずとも習慣的に手に取ってしまう人もいます。

何を隠そう筆者も見つけたらついつい手に取ってしまいます(そしてだいたい使い捨てのランチョンマットと化す)。

 

“とりあえず”フリーペーパーに広告を出す日本人向け事業主たち

だいたい一つの国には数種類の日本人向けフリーペーパーがあり、ビジネスとして回っているのは上位2社くらい。

で、海外の日系企業(もちろん日本人や日系企業が顧客の企業)はとにかくこのフリーペーパーへ広告を出しまくります。

B2CからB2Bまでまさにのべつ幕なし。紙面の半分、下手したら半分以上が広告で埋め尽くされます。

よく観光地のパンフレットに地元店舗の広告が「うじゃ~~~~」ッと掲載されているものがありますよね。あれが十数ページにわたり続く感じです。

飲食店から人材紹介会社や不動産仲介業、さらには工場のコンサルティングやシステム会社、工事系車両販売会社、などもう日系企業のオンパレード。

海外へ行って日本人向けフリーペーパーを見れば現地へ進出している日系企業リストができるほどです。

 

この時代にフリーペーパー出稿って効果あるの?

日本だと紙のフリーペーパーは「オワコン(終わったコンテンツ)」的な位置づけですよね。あの一世を風靡したフリーペーパーのホットペッパーですら今やWebとアプリに移行しています。

日本含め世界的にもオンラインへどんどん向かっているこの時代、紙のフリーペーパーなんて意味があるのか?

結論、広告主によっては絶大なる効果を発揮します。

ターゲットが広い商売で、かつ目立つクリエイティブ(広告のデザイン)であれば効果絶大。

駐在したばかりの人たちはすべからく手に取りますので、特に飲食店なんかは効率的にアプローチできます(ただし、目立つクリエイティブにしないと他の広告に埋もれます)。

でも、逆にそうではない事業者(ターゲットが狭いもの、ニーズが限定的なもの)はほとんど効果がない場合もあるでしょう。

先ほどの例だと、工場コンサルなど。B2Bの専門的な事業者が該当します。

確かに顧客企業の担当者はフリーペーパー自体を読んでいるかもしれませんが、そこに掲載された広告に意味があるのか?となると難しいでしょう。

と、別に今回の記事では「日本人向けフリーペーパーに効果がない!」と言いたいわけではありません。

広告主への問題提起をしたいのです。

 

紙は効果測定しないのにWebだと急に効果を気にしだすおじさんたちの不思議

効果があるかどうかなんて効果測定をすればすぐにわかります。同じ業種で同じ広告媒体に出したとしても表現や使い方でも効果は変わってきますしね。

ただ、ほとんどの広告主は海外フリーペーパーに広告を出しっぱなしで効果測定をしていないんです。

媒体側としてウハウハです。とにかく発行部数さえ増やして「地元NO1の発行部数と頻度」までたどり着ければ効果にこだわらなくても事業が回ります。

でも不思議なことにWEB広告の話となるとみんな「効果は?」と追及してくるんですよね。

 

不思議だ。

 

 

わかりやすく具体的なエピソードをご紹介します。

 

 

自分たちでWEBメディアを持っている筆者はたまにお問い合わせや紹介を受けて広告の話をしに行きます。

そして現場では日系企業の決裁権者とこんな会話が繰り広げられます。

 

BUTA
BUTA
御社はフリーペーパーに出稿されてますけど、効果測定はされていますか?どれくらい効果あるものなんですか?
担当者
担当者
まったくしてないんですよね~、正直どれだけ効果があるかわかんないんですよ。でも前任者が出してたんでそのまま出し続けています。まぁみんな読んでるから何かしら効果はあるんじゃないですかね?
BUTA
BUTA
……。御社の場合、顧客は思い立った時に必ず検索して課題解決してくれる会社を探すと思うんですけど、インターネットでの対策はされないんですか?
担当者
担当者
インターネットの対策もした方がいいとは思うんですけどね。効果はどれくらいあるんですか?
BUTA
BUTA
成約率までは責任は取れませんが、過去実績からの推測値だと◎◎人に読まれ、すでに商品に興味を持った◎◎人がサイトまで遷移すると思いますよ。
担当者
担当者
うーん、それだと最終的な効果がわからないよね。どれだけ売り上げに貢献できるか明確にならないと…。
BUTA
BUTA
(あれ?でもフリーペーパーは??)

 

 

不思議ですね。本当に不思議。

 

 

マーケティング上の役割が違うので、Webがフリーペーパーよりも効果がある!と言うつもりはありませんが、使い方や使いどころによっては間違いなく紙よりWebが強いこともあります。

少なくともターゲットやニーズが絞られている事業にはフリーペーパーよりWebの方が効果的なはず。

でも、ほとんどの日系企業担当者は考えることすら放棄しているんですよね。

 

しょうがない部分もある

ただですね…この状況よくないな~と思いつつも「しょうがないのかな…」と思う部分もあります。

駐在員のほとんどの方はWeb担当でもないし、ましてやマーケティング担当でもない。それに日本でやっていた自分の役割以上にやらなければいけないことがたくさんあります。語学も学ばないとなりませんし…。

そんな中、よくわからない宣伝広告の話もしなければならない。

自分たちの目に見えて上司や本社にも「仕事やってる感」を伝えられるフリーペーパーに「とりあえず出しておけ」というのが一番「無難」な選択ですよね。

「効果あるのか?」と上から詰められても「他社もみんな出稿してます!」と言ってしまえばいいんですから。

何か新しいことを取り入れると説明責任がつきまといますからね。

でも「他社と差別化するためにどうするのか?」を考えるのが広告担当の仕事でもあるんだけどなぁ。

 

フリーペーパーの掲載効果を考えるための視点

でも、せめて新しいことはしないまでも既存の取り組みの効果はちゃんと考えてみてほしい。そしてもし少しでも疑問があればWEB広告も試してみてほしいです。

せっかくなので在留邦人向けフリーペーパーの広告効果を考える視点を書いてみます。自分自身に質問してみると考えやすいと思います。

日本人向けフリーペーパー広告チェックポイント
  • ターゲットとなる顧客で、且つそのフリーペーパーを読んでいる人はどれくらいいますか?(発行部数を鵜呑みにしないでターゲット数で考える)
  • 顧客が商品やサービスを購入しようと思い立った時、フリーペーパーの広告はどのように役に立ちますか?(必要な時に思い出してもらえるのか?それともフリーペーパーを持ち出して参照しているのか?)
  • 一度に百社くらい広告掲載される中で、貴社の広告はどれくらい人の目についていますか?(ちなみに最近掲載されていた他社の広告で覚えているものはありますか?)
  • 広告に触れた後、具体的なアクションに繋がっていますか?
  • 同じ広告をずっと使っていて、読者に飽きられて「無視」されていませんか?
  • 毎週、毎月掲出する意味はあるのか?(実は半年に1回集中的に出しておけば事足りたりしませんか?)
  • 本当に効果測定できませんか?問い合わせ用のメールや番号を設置したり、読者特典を付けて反響測定できませんか?

特に「自分たちの顧客がどれくらい含まれているのか?」というのは最初にしっかり感がえてみて欲しい。

発行部数が1万部!とかでも実際のターゲットは数百人もおらず、さらに広告まで見てくれる人を計算するとまさか数名??なんてこともあり得ます。

思い当たる節があればぜひ改善検討してみてください。

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