禁煙のコツをお探しですか?禁煙は大変なプロジェクトですが、成功のためのコツがあります。
10代のころから約20年間吸っていたタバコをピタリと止めることに成功した私が、実体験をもとに禁煙のコツをお伝えします(しかもタバコの価格が日本の半分以下の外国に暮らしながらやめました)。
禁煙の最も重要なコツ…それは「やめる理由(禁煙のメリット)」をできるだけ具体的に理解すること。そして「タバコを吸うデメリット(損していること)」を増やすことです。
「タバコを吸うデメリット?そんなの知ってるよ!」と思われたかもしれませんね。
でも「タバコはお金がかかるし体に悪い」程度ではだめですよ。
体に悪いからやめろ、と言われたところで、そんなの最初から知った上で吸っているんですから。そんな理由ではタバコはやめられないです。
もっともっと禁煙で得られるメリットを知ってください。そして「喫煙している自分は損をしている」という気持ちを持ちましょう。
結果論ですが、私は禁煙の過程でこのコツに気づきました。
以下に詳しく書いていきますので、禁煙に挑戦する際の参考にしてください。
後半では細かいテクニック的なものも書いていきます。
目次
タバコの健康的・金銭的デメリットを意識したところでやめられない
多くの方が禁煙を始める際「体に悪いから」、「タバコが値上がりしたから」などを理由に掲げます。
「体に悪いし、金もかかるし…このまま吸っていても意味がないからできれば止めたいんだよね…」という心境ですよね。
でも、この流れで多くの方が禁煙に失敗します。私も過去に何度か禁煙したことがありますが、最長で100日やめた際も100日目で禁煙に失敗しました。
それもそのはずで「タバコは金がかかって体に悪い」なんて、我々は吸い始めた当初から知っています。
その大前提を許容して吸っていたのですから、今さらタバコの代表的なデメリットを「やめる理由」にしたところで何も変わりません。
我慢に我慢を重ねて禁煙をしても、結局はタバコに引き戻されてしまいます。
禁煙成功のコツは「タバコを吸っている自分は損している」という強い気持ちを持つことから
禁煙のコツは「タバコのデメリット」ではなく「やめるメリット」を深く理解することです。そして「タバコを吸うのは損だ」という心理に持ち込むことです。
これは私が実際にタバコをやめる過程で気づいたことですが、心理学的にも納得感のある話だったりします。
マーケティングや投資の世界でよく引用されますが、人間は「損」を嫌う生き物です。
少したとえ話を出します。
下記は有名な「行動経済学」の実験から引用したものです。
質問①「利益」
目の前に2種類のクジがあります。どちらを選択しますか?
- 100万円を無条件でもらえる。
- 200万円を確率1/2でもらえる。
この場合、多くの人はAを選びます。「もらえる100万円を見逃す(=損する)のは嫌だ」という心理が働くからです。
質問②「損失」の場合
仮にあなたに200万円の借金があると想定してください。どちらのクジを選択しますか?
- 200万円の借金が半分になる。
- 200万円の借金が確率1/2で帳消しになる。
この場合、多くの人がBを選びます。「借金が残るの(=損する)は嫌だ、リスクがあっても損失をゼロにできる方がいい」という心理が働くからです。
質問③「利益と損失」の場合
下記のゲームにあなたは参加しますか?
- コイントスで表が出たら3万円もらえる。
- コイントスで裏が出たら2万円支払う。
この場合、多くの人がBを選びます。確率だけで期待値を計算すると参加する方が得ですが「2万円を失う(=損する)ことを避けたい」という心理が先に働くからです。
このように人間は「損」に対してものすごく敏感な生き物です。
この辺りの行動経済学理論は下記の本が勉強になります。読み物としても面白いのでご興味があれば読んでみてください。
さて、タバコに話を戻します。
タバコの健康的・金銭的デメリットを意識しても「”タバコを吸えない”デメリット」が先に来てしまい負けてしまいます。
本来タバコを吸っていること自体が健康とお金の損失なのですが、すでに習慣化してしまっているので脳みそは「タバコを吸えないことが損失」と考えてしまいます。
損失にはさらに強い損失で対抗するしかありません。
そこで「禁煙によって得られるメリット」を使います。
「禁煙で得られるメリット」を具体的に意識できると「タバコを吸うことによって自分はいろいろなことを損している」という気持ちになります。
この「損している気持ち」が強まれば強まるほど、禁煙は成功しやすくなります。
禁煙によって得られるメリットはこんなにある!
世の中には禁煙によって得られるメリットはこんなにあります。
これらは「本来タバコを吸わなければ得られていたメリット」です。つまり、これだけ喫煙者のあなたは人生で損しています!
- 好きな飲食店を選べる自由が手に入る
- 喫煙所がない!と街角でイライラする必要がない
- 飲み会で相手に気を使わなくてよい(むしろ気を使われる)
- 一日一時間くらい自分の時間が増える
- 世界中で好印象(特に先進国ではタバコ=マイナスイメージ)
- 喫煙者にも非喫煙者にも優しくできる
- よく眠れるようになる
- 変な息苦しさがなくなる
メリット①:好きな飲食店を選べる自由が手に入る
カフェで休憩する時、居酒屋を選ぶ時、タバコが吸えるか確認していますよね?そして喫煙席がないと「別の店にしよう」と移動していませんか?
タバコをやめるとそんな不自由から解放されます。
気に入ったお店、入りたいお店、おいしそうなお店、すべての飲食店を楽しむことができます。
「店選びでいちいち悩む必要がない」
これがどれほど自由なことか、禁煙すると体感できます。
さらに元喫煙者の我々は喫煙席でもあまり気になりません(個人差はあるかもしれません)。
まさにお店選びにおいては「完全なるストレスフリー」を実現できます。
メリット②:喫煙所がない!と街角でイライラする必要がない
東京23区を中心に、エリア単位で禁煙にしている地域はますます増えています。駅を降りるたびに灰皿を探して「なんで喫煙エリアがないの?」とイライラしていませんか?
当たり前ですがタバコをやめればそんな「喫煙所探しの無駄なイライラ」から解放されます。
どこのエリアに行っても気になりません。
喫煙所を探して時間を無駄にすることもないし、同行者の時間まで奪うこともない。
これは海外旅行でも実に大きいです。
メリット③:飲み会で相手に気を使わなくてよい(むしろ気を使われる)
飲み会で「おタバコ失礼してもよろしいですか?」と切り出せるかどうか、そして切り出すタイミングを見計らうことに神経をすり減らしていませんか?
さらに許可を得たとしても「申し訳ないな…」と思いながら吸っていませんか?
禁煙に成功すればそんな無駄な気遣いは金輪際する必要はありません。むしろ「おタバコ吸っていいですか?」と喫煙者から気を使われる立場になります。
その時に「私も喫煙者だったのでお気持ちわかります、どうぞ吸ってください」と「仏」のような立場となれるのも「元喫煙者」の特権だったりします。
メリット④:一日一時間くらい自分の時間が増える
喫煙所を探したりする時間も無駄ですが、タバコを吸う時間も積み重なると大変な時間になります。
私の場合は一日平均15本吸っていました。1本5分だとすると75分。1日あたりでタバコに費やす時間は1時間を超えていました。
タバコを止めるとこの時間をそのまま他のことに費やせます。1カ月で30時間、一年で360時間(約15日間)。
これだけの時間をタバコに縛り付けられていたのかと思うとぞっとします。
メリット⑤:世界中で好印象(特に先進国ではタバコ=マイナスイメージ)
高い税金を払っていながらも喫煙者が邪険に扱われるのは日本に限ったことではありません。今や世界的に喫煙は悪印象を与えます。
特に先進国では顕著です。
逆にタバコを吸っていない場合は「同士」として優しく受け入れてもらえます。
これから海外観光客も増えていき、ビジネスでも国境がなくなっていくことを考えるとこのメリットはかなり大きいです。
メリット⑥:喫煙者にも非喫煙者にも優しくできる
一度喫煙した人は、タバコを吸う前のピュアな状況には戻れません。しかし我々喫煙者は禁煙に成功することで「完全なる非喫煙者には持ちえない特権」を得られます。
それは非喫煙者の気持ちも喫煙者の気持ちも両方理解できることです。
まさに「悟り」…。
この悟りはなかなか得難いものですよ。
どちらのグループに入っても中立に対応できるのですから、希少な人材です。
メリット⑦:よく眠れるようになる
タバコが習慣化しているとあまりわからないものですが、タバコはやはり健康に悪影響を与えています。その代表的なものが睡眠です。
禁煙状態が安定すると睡眠の質が向上します。具体的には寝起きがスッキリします。
タバコを吸っているあなたは知らないうちに睡眠を損しているかもしれませんよ。
メリット⑧:変な息苦しさがなくなる
これは個人差が大きいかもしれませんが、私は30歳を超えたあたりから胸が苦しくなることがたまにありました。
タバコをやめた今だからわかりますが、あれは完全にタバコの影響でした。
なんだかんだでタバコを吸うことによって健康な体をどんどん失っている(損している)んですね。
タバコをやめて1年が経過する今では、息苦しさや胸が締め付けられることはなくなりました。
タバコを吸わない「デメリット(損失)」を減らす努力も大事
タバコを吸うデメリットを増やすと同時に「タバコを吸わないデメリット(損失)」を減らす努力も大事です。
わかりやすく書くと「言い訳をなくす」ことです。
禁煙初期にはニコチンの魔の手がどんどん迫ってきます。そして「タバコを吸う正当性(吸わないことによって〇〇を失っている)」という言い訳を作り出します。
例えば次のような言い訳です。
- タバコがないとタバコミュニケーションが取れず仕事に支障が出る
- タバコがないと仕事中の気分転換ができない
- タバコがないと仕事の休憩がうまく取れない
タバコを吸っていない人は何の支障もなく生活をしているのですから、当然タバコがなくても問題はありません。
でも「なんとかしてタバコを吸いたい」と思っている脳はあらゆる言い訳をアピールしてきます。
これらは事前に予測して対策をしておくことが大事です。
例えば下記のようなものです。
- 仲間とのコミュニケーションはランチやティータイムなど別の機会で担保する
- 気分転換や休憩の「代替案」を用意しておく
蛇足ですが特に「仕事の休憩や気分転換」は重要事項でした。私の場合は「ガム」を大量に用意しておいたり、気分転換として「5分スクワット」をやったりして乗り越えました。
無くなった習慣は何かで埋める。この考え方はけっこう大事です。
さらに禁煙を持続させるための細かいコツ
せっかくなので禁煙中に効果的なその他の細かいコツというかテクニック的なものも書いておきます。
どんなに崇高な思いを持って禁煙を始めたとしても、大前提として禁煙はつらいものです。特に最初の1カ月は「自分との闘い」でもあります。
戦いを支えてくれる仕組みをうまく構築してください。
- 吸いたいと思ったら30秒我慢する
- タバコの代替品を用意する
- 禁煙アプリを使って「サンクコスト」を可視化する
- 禁煙ブログを読む
- 1本も吸わない&持ち歩かない
- 禁煙以外の欲望は許容する
細かいコツ①:吸いたいと思ったら30秒我慢する
どれだけ強い意志で禁煙を開始しても、必ず「吸いたい」という衝動は襲ってきます。1時間、3時間、1日、3日、1週間、1カ月あたりの山場で急に来ます。
その時は「30秒我慢する」ことを意識してみてください。30秒経過すれば吸いたい衝動は多少落ち着くはずです。
落ち着いた後は理性と欲望の戦い。タバコを吸うことによって損していることを思い出し、乗り越えてください。
細かいコツ②:タバコの代替品を用意する
代替品も重要です。無くなった習慣は何かで埋めなければならないからです。
タバコの代替としてよく使われるのは「強烈なガム」や「フリスク」などがあります。また休憩のお供で「チョコレート」などを使う人もいます。
タバコの分だけお菓子を取るので体には良くないかもしれませんが「タバコよりマシだ」と割り切りましょう。
細かいコツ③:禁煙アプリを使って「サンクコスト」を可視化する
積み重なった我慢を可視化することも有効です。記録しておくということです。
経済学で「サンクコスト(埋没費用)」というものがあります。取り返すことのできないお金や時間のことです。
ビジネスの新規事業などではサンクコストを気にしすぎて、「お金も時間もかけたのだからここで撤退はできない…」と撤退タイミングを見誤ることがあります。まさにあれですね。
禁煙してきた時間を可視化しておけば、「せっかくここまで我慢したのだから…」と防波堤になってくれることがあります。
スマホの無料アプリもたくさんあるのでうまく活用しましょう。
私のおすすめはシンプルな「禁煙ウォッチ」です。特に凝った機能はありませんが、記録アプリとしては必要十分です。
※アンドロイド版はないので類似するアプリのリンクを張っておきました。
禁煙ウォッチ – 禁煙時間が一目でわかる!禁煙アプリの決定版!
Isao Miyagawa無料posted withアプリーチ
細かいコツ④:禁煙ブログを読む
世の中には禁煙の様子を毎日ブログで記録してくれている方がたくさんいます。
同士の存在というのは非常に重要で、崖っぷちで思いとどまらせてくれたり、励まされたりすることが多々ありました。
使い方は簡単です。くじけそうになった時に「禁煙 〇日目」とグーグルで検索してみてください。
あなたと同じ状況で戦った人たちの記録が検索結果に表示されます。
例えば30日目で折れそうになった時にブログを検索してみてください。すると同じく30日目で耐えている人、そして耐えきった人の話を読むことができます。
これが意外と支えてくれる。
さらにその後の様子も読むことができます。
「ここで耐えればもう少しで楽になるのか…今が山場だな…」と先人の記録を読むことで励まされる効果は大きいですよ。
細かいコツ⑤:1本も吸わない&持ち歩かない
「1本くらい吸っても大丈夫だろ…」と”吸った瞬間”にその禁煙は失敗です。禁煙にグレーゾーンはありません。白か黒か、1か0かのシビアな世界です。一口でも吸ってしまえば0だと思ってください。
数カ月禁煙した人でも「つい吸ってしまった」のをきっかけに喫煙者に戻ってしまった人が数多くいます。
もちろん「最後の1本」としてタバコを記念に持ち歩くのもご法度です。
細かいコツ⑥:禁煙以外の欲望は許容する
禁煙初期はストレスを他のことで紛らわせる必要があります。あまり厳格になりすぎず、タバコ以外の趣味や娯楽には寛容になった方が良いでしょう。
私の場合はタバコを減らした分、禁煙初期はお酒の量が増えました。酒を飲んで気持ちよくなってタバコを吸いたくなる前に寝る、というパターンが多かったです。
「タバコをやめて浮いたお金は気晴らしに使う」くらいの気持ちでいた方が禁煙は続きます。
つらさを超えた後の生活を具体的にイメージしよう
ここまで書いておいてあれですが、禁煙自体はどうあがいても辛いものです。どんな動機にしろ、どのような道具や手法に頼ったにしろ決して楽なものではありません。
ニコチンというのはあなたが思っているよりも強烈で、あの手この手でタバコを吸わせようとします。禁煙後しばらくは「夢でタバコを吸う」こともよくあります。
そんな時に耐える力となるのは禁煙成功後のメリットを強くイメージすること。
そしてやはり「タバコを吸うことは損失だ」と自分自身がきちんと理解し納得することでしょう。
タバコをやめたからこそ理解しましたが、タバコをやめられるならばやめた方が人生の幸福度は増すと思います。少なくとも人生の自由度はかなり高まります。
最後に一言書かせてください…。
「禁煙とはタバコを吸えない不自由を得るのではない。タバコから解放されて自由を得るチャンスなのだ。」
ぜひ禁煙を成功させて自由な生活を手に入れてくださいね!