「海外生活に早く慣れたい…どれくらいで慣れるのだろう?」と考えていますか?
もしくは「あぁ、なんだか海外生活に全然慣れないな…自分は大丈夫なのかな?」とお悩みかもしれませんね。
焦る必要はありません。
海外生活に慣れるには時間がかかります。
筆者は海外(東南アジア)に6年ほど(※)在住していますが、その間にかなりの浮き沈みがありました。
※2019年時点
どのような環境下であれ、人間が海外生活(≒異文化)に慣れるためにはステップがあります。
ステップを知っておくことで、焦らず客観的に自分の状況を知ることができるでしょう。
- 海外生活に慣れるまでの順応ステップが客観的にわかる
- だいたいどれくらいで海外生活に慣れるものかイメージできる
目次
大前提として海外生活への適応は時間がかかる
筆者は海外生活をしながら様々な日本人を見てきました。
海外生活には「合う・合わない」があり、合わない人は本当に最後まで適応できないケースもあります。
しかし、「合う人」であっても、必ずしもすぐに適応ができるわけではありません。
慣れてきたかな?と思ったらまた嫌になったり…
嫌だったのがいつのまにかまた平気になったり…
そうした繰り返しが必要で、そのため誰であってもある程度の時間が必要なのです。
個人差があることは前提ですが、本当の意味で慣れるには1.5~3年程度は時間が必要だと思います。
実はこの慣れるまでのステップは研究者によってモデル化されています。
知っておいて損はないのでご紹介しますね。
海外生活での異文化適応過程モデル
「異文化適応」を表す心理学的モデルは、初めにリスガード(S.Lysgaard)によってUカーブ説として提唱されました。
その後、Uカーブ説をベースとしてさらにガラホーン(J.Gullahorn)によりWカーブ説が提唱されています。
前半の異文化適応期間だけを見れば「Uカーブ」。
全体を見れば「Wカーブ」となります。
以下、各段階について以下補足します。
ハネムーン期
新しい環境に飛び込んで何もかもが新鮮に映る時期です。
気持ちも充実しており、楽観的に異文化と接触することができます。
多少の不便があったとしても「海外だからね」と割り切ろうとする自分がいます。
周囲との関係構築にも前向きで、新しい仲間やコミュニティに積極的に飛び込もうとします。
ショック期
ハネムーン気を過ぎると現地での順応に限界を感じ始めます。
「こうありたい自分」と「実際の自分」の差に失望感を覚え、それが高じて現地文化に敵対心すら持つことも。
また、現地の人間関係に限界を感じはじめひどく自国や自国にいる友人たちが懐かしくなります。
海外での方向性を見失い、精神失調をきたす人が出るのはこの時期です。
回復期
言語の問題がある程度解消され、コミュニケーションが取れるようになります。
また、現地でサポートしあえる友人との出会いを通じ、現地での生活の仕方(必ずしも現地同化ではない)が見えてきます。
現地生活と自分のバランスが取れるようになってくるイメージでしょう。
適応期
現地での文化適応がほぼ完成した状態。多少の浮き沈みはあれどもストレス,心配などが少なくなり、安定した状態が続きます。
人によっては仲の良い友人が本帰国することにり郷愁の念が高まり、安定度が下がることもあるようです。
ただ、私見が入りますが、人によってはまったく動じない鉄壁の安定度を維持する人もいます。
リ・エントリー期
永住者を除き、「本帰国」の後に訪れる「逆カルチャー・ショック」とも呼ばれる時期です。
異文化に適応した時と逆のことが起きます。
海外での生活が安定していればいるほど、本帰国時の再適応は難しくなる傾向があるそうです。
海外に来た時に日本を思い出したように、今度は日本に来て海外を懐かしく思い出すのでしょう。
ちなみに本帰国せずに他国へスライドした場合は再度ハネムーン期から始まります。
海外適応は焦らず自分のペースで構わない
上記で紹介したモデルはあくまでも「一般化」したモデルなので、万人に当てはまるわけではありません。
実際はかなりの個人差があるでしょうし、期間も人の性格や経験によって大きく異なるでしょう(ちなみに期間についてはモデル内では触れられていません)。
また、最終的に必ずしも全員が海外生活に適応できるわけでもないと思います。
ただ、このようなステップがあると知っておけば最初に「ガクンっ」と来た時に「ああ、これがショック期というものかな?無理しないでゆっくりいこう」と客観的に自分を見つめられるかもしれません。
海外生活で大切なのは「焦らないこと」だと思います。
日本と比べて日本人同士の人間関係が狭いので、周りと自分を比べてしまいがちですが、マイペースでも構いません。
ゆっくりと、自分のペースで鳴らしていくのが一番ですよ。