「海外在住の利点を活かして副業を始めたいけど、日本への収入申告義務はあるの?」
「海外でアフィリエイトやECで得た収入は課税される?」
本記事では実際に海外生活をしながら副収入を得ている筆者が上記の疑問に対して答えます。
想定しているのは「海外在住でインターネットを使い副業を開始し、日本円を稼ぐ場合」です。
あまり難しい内容にせず、できるだけわかりやすく書いてみます。
これから副業を始めよう!とお考えの方は参考にしていただければと思います。
目次
居住者か非居住者が最初の分かれ道
まず大きな分かれ道となるのが日本における「居住者」か「非居住者」か、という判断です。ちなみに各々における収入の申告義務は下記の通りです。
居住者 | 非居住者 |
すべての所得が課税対象 | 日本国内で生まれた所得のみ課税対象 |
居住者と判断されるならば世界のどこで稼ごうとも(外貨も日本円も)日本で得た副収入と同じく申告義務があります。毎年きちんと確定申告をしなければなりません。
ちなみに日本国内での確定申告義務は下記の通りです。
- 必要経費を抜き、副業として年間20万円以上の収入がある場合
- 必要経費を抜き、本業として年間38万円以上の収入がある場合
1は主に会社員の場合、2は主に専業主婦の場合に該当することが多いでしょう。
確定申告をする場合は無料で使える会計ソフトのFreeeなどを使うと便利です。経費用のクレジットカードと紐づけておけば自動で経費計上をしてくれます。確定申告をしない場合でも、日々の収支管理アプリとして大変優秀です(筆者も使用してます)。
居住者・非居住者の判断方法
「自分は居住者なのか?非居住者なのか?」と判断に迷うこともあるでしょう。
国税庁の公式ページには下記のように記されています。
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
個人については、「恒久的住居」、「利害関係の中心的場所」、「常用の住居」そして「国籍」の順に考えて、どちらの国の「居住者」となるかを決めます。
なかなか難解な日本語ですね(笑) ただ、上記の文章から明らかなのは「住民票の有無だけで判断されるものではない」ということです。
たまに「住民票を抜いたら非居住者になる」と書かれたブログを拝見しますが、住民票を抜いていたとしても「明らかに生活のベースが日本」であれば居住者と判断される場合があるかもしれません。
逆に住民票が日本にあったとしても、「明らかに生活のベースが海外」であれば非居住者と判断される場合もあり得ます。
この辺りは複合的に判断されるものですので、判断に迷う方は自分だけではなく専門家の判断を仰ぐことをお勧めします(まぁ、と言っても副業年収が20万円以上になってから考えても遅くはないと思います)。
参考までに筆者の場合は日本から住民票も抜いており、一年のうちほとんどは海外の一都市に滞在しているため「非居住者」の扱いとなります。
非居住者の場合の課税
非居住者の場合は原則として「日本国内で生じた所得(国内厳選所得)にのみ課税」となります。
我が国の所得税法では、個人の納税義務者を「居住者」と「非居住者」に、法人を「内国法人」と「外国法人」とに分けた上で、「非居住者又は外国法人(以下「非居住者等」といいます。)」に対する課税の範囲を「国内源泉所得に限る」こととされています。
ただし、「恒久的施設」を有していたり「恒久的施設」が関係する所得については課税されることがあります。
「恒久的施設」のわかりやすい例は「オフィス」でしょう。日本非居住で海外で副業をしていたとしても、日本にオフィスを構えて思い切り稼いでいた場合は課税対象となる、ということですね。
ただ、少し雑なコメントとなりますが「海外でインターネットを使ってお小遣いを稼ぐ程度」であればほぼ関係のないくだりでしょう。
海外でできる副業だと「個人輸入代行」や「アフィリエイト」、「ライター業」などがありますがいずれも海外在宅で完結します。
現段階では日本非居住で海外からオンラインで稼ぐ分には日本からの課税対象となる可能性は稀、と判断しても齟齬はないでしょう。
実際は完全に白黒はっきりしているわけでもなく「グレーゾーン」で、担当によって答えが変わる場合もあります。
例えばアフィリエイトで収入を得た場合でも、アフィリエイトの収益を生み出す「サーバー」は日本にあることが多いため「恒久的施設」と判断できる、という人もいるようです。
ただ、あくまで一般論としては「日本で課税される可能性は少ない」としています。このあたりの法規制は今後整備されていくかと思います。
忘れがちな消費税の扱い
直接収入から支払うわけではありませんが、海外在住とはいえもし「消費税」を売上に+して受け取っている場合は納税義務があります。
ただ、原則として課税売上高が1,000万円以下の事業者は納税の義務が免除されます
消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます
年間1,000万円以上の収入となるともはや副業の範疇を超えるレベル。こちらも雑な言い方ですが「儲かってから考えればよいこと」でしょう。
非居住者の海外副業収入はどこにも納税しなくていいの?
ここまで読んだあなたは「非居住者の場合は日本から課税されないし、小遣い程度なら消費税も納めなくていいし無税ってこと!?ラッキー!」と思ったかもしれませんね。
しかし仮に「日本からは課税しません」となったとしても、税金を全く払わなくてよいということにはなりません。
原則論として現地国で他の所得と合算して申告が必要となります。
現地国での申告については各国によって考え方が異なるのでこちらでは触れません(というか書けないです)。あなた自身で調べ、判断していただければと思います。
注意が必要なのは国によっては「ビザがない就労」と見なされることもある、ということです。実際のところ、この辺りは各人ヒラリヒラリと独自のスキームで乗り越えていたりします。これ以上は…ここでは書けないですね(笑)